腰痛の患者さんのお話を聞いていると「腰骨が痛い」や「骨が痛む」と言われることがあります。
大体は骨の痛みでなく、筋・筋膜性疼痛である場合が多いですが、骨が痛むホントのところは一体どういうことでしょう。
骨が痛い代表として、骨折があると思います。
骨が折れるとめちゃくちゃ痛いですよね。
でも、実は骨本体には、痛みを感じる侵害受容器はほとんどないと言われています。
じゃあ、なぜ骨折すると痛みが起きるのでしょうか?
それにはまず、骨の仕組みから理解する必要があります。
骨は骨本体(骨皮質と骨髄腔)と骨膜から構成されます。
骨本体では骨髄腔に少し侵害受容器があるだけで、ほとんど侵害受容器が存在しません。
しかし、骨膜には豊富に侵害受容器が存在します。
だから、骨折した時に痛いのは骨本体というより、骨膜の侵害受容器が炎症や機械的刺激などによって興奮して痛みを起こしていると考えられるわけです。
じゃあ、骨折以外ではどうなのか?
骨折以外での痛みというと、例えば癌があります。
癌の骨転移による痛みは骨折時の痛みとは異なると言われています。
骨で癌細胞が増殖すると、癌細胞がプロスタグランジンやエンドリセンなどの痛覚を過敏にさせる物質を方質します。
この物質によって、骨髄腔内の侵害受容器を活性化されて痛みを引き起こします。
あと、癌細胞の増殖が進んでくると、癌細胞が骨髄内の知覚神経を圧迫・破壊して神経損傷を起こします。
神経が損傷するとさらに痛みは強くなります。
さらに癌細胞の増殖によって骨細胞を死滅させられると骨折が起こりやすくなって、骨膜の侵害受容器を刺激して痛みを引き起こします。
このように、骨の痛みは骨膜や骨髄内に存在する侵害受容器によるものが主だと考えられます。
腰痛で骨が痛いとすると、骨折なのか癌なのかとなります。
でも患者さん自身はこの痛みが骨の痛みなのか他の原因の痛みなのか判断できませんよね?
自分で判断することができないので、まずは病院に行くことは大事だと思います。
もちろん、腰痛は骨折や癌の痛みでない場合も多いので、病院に行って検査して異常がないけど腰痛が全然良くならない人も多数います。
そういった腰痛患者さんが当院を頼って来られることもよくあります。
話がそれてしまいましたが、骨が痛むってかなり大変なことなんですよってことです。
骨折も癌も聞いただけでビックリしますよね。
多くの腰痛患者さんに知ってもらいたいのは、腰痛の症状で骨が痛む原因はこういうことで、どちらかというと骨の痛みでなく、他の原因の痛みの方が多いということです。
できるだけ正しい知識を持つことは、自身のからだにとっても大変良い事だと思います。
実際、正しい知識を得て納得し理解することで、その後の経過が良いなんてこともあります。
現在は情報過多で正しい情報を得ることは至難の業ですが、信頼できる人や団体、または書籍やメディアから情報を得るようにして下さい。
正しい知識を得ることができれば、腰痛患者さんは自ずと自分がどこに行けばいいか分かるはずです。
腰痛で悩む多くの患者さんの早期解決の助けになればと思います。
おしまい、、、